老後を不自由なく暮らすには、3000万円必要だとか、世間では言われている。
先日は、金融庁が「老後に2000万が必要」と提言したところ、政府がその報告を受け取らなかったというイザコザがあった。
老後に必要な額、といわれても、人それぞれのライフスタイルで異なるだろうが、やはり数千万円単位で必要なのは間違いないだろう。
真面目な人ならば、コツコツと貯金を積み立てる、という地道な行動を継続していると思う。
ただ、資産と貯金が必ずしもイコールではない、ということを覚えておかないと、大事な資産の価値が下がってしまう可能性がある。
貯金すると損することもある?インフレの恐怖
いざ「資産」を増やす、という場合、様々な方法があるが、もっとも多くの人がまず考えるのは、「貯金」を殖やす、ということだろう。
これは、全くの間違いではないし、不要な支出を減らす、というのは、資産を増やすうえで最も基本となるものだ。
ただ、資産を現金という形で保有していると、「資産価値」という点で目減りする必要がある、ということを知っておいた方がいいだろう。
それはどういうことかというと、「インフレ」により、現金の価値が減る可能性があるのだ。
「インフレ」、つまり「インフレーション」とは、英語の inflation からきている。
経済用語で、「モノの値段が上がる」ということを意味する。
「モノの値段が上がる」ということは、つまり同じ金額でも買える物が減るということで、それはつまり「お金の価値が下がる」ということでもある。
例えば、1億円持っていたとしても、10年後に10%のインフレがあるとすれば、その実質的な価値は9000万円になるということ。
つまり、10年間の間に1000万円分の価値が失われた、ということになる。
日本ではインフレが起こる?
日本は長い間デフレに悩まされてきた。
デフレ、とはインフレの逆で物の価値が下がることだ。
政府・日銀は、デフレを解消するために、つまりインフレを起こすために、お金をジャブジャブと市場に供給している。
現在のところ、政府が望むようなインフレ率は達成できていないが、これからは徐々にインフレに向かうと見られている。
ただ、数年前から日本はインフレに向かう、と言われ続けているが、なかなかインフレ率は思惑通りに上がらない。
それでも、市場に出回るお金の量は着実に増えているわけで、お金の量が増えれば増えるほど、現金の価値が減る、ということを考えれば、やはりインフレは起こると考えるのが妥当だろう。
先日の日経の記事では、現在のマイナス金利をさらに下げるという考えも出てきているようだ。
そう考えれば、やはりインフレが起こるらしいということが予想でき、現金を貯めるというのは、損をする可能性が高い、ということになる。
ただ、もし今後もデフレが続くと予想するのであれば、現金の価値は上がるので、現金という形で資産を増やすのは悪い選択ではない。